コングスベルグ・マリタイムのK-Sailソリューションは、風力エネルギーを活用することで、より環境に優しく持続可能な海運の選択肢を提供しています。実証試験の結果は良好で、その将来は明るく、追い風に乗って進んでいます。
脱炭素化
2025年夏の終わりに就航したTern Vik は、コングスベルグ・マリタイムのK-Sailソリューションにとっても、船主Terntank社のサステナビリティ戦略にとっても、一つの節目となりました。

Terntank社発注の5隻シリーズの1番船となるこのケミカルタンカーには、Econowind社製のサクションセイル4基が搭載され、コングスベルグ・マリタイムのデジタル最適化システムと統合されています。同船は、ウィンドアシスト技術が実運航において確かな成果を生み出せることを、静かに証明し続けています。
Donsö Shipping Meetで目玉として披露された後、Tern Vikはそのまま商業運航へとシームレスに移行しました。「これはパイロット導入です」と語るのは、コングスベルグ・マリタイムでK-Sailテクニカル・リードを務めるHenrik Alpo Sjöblom氏。

「実運航データから学びを得ることで、K-Sailを確かなウィンドアシスト・ソリューションへと育てている段階です。」「我々のアプローチは計画的です。まず船舶を分析し、適切なセイル(帆)技術を提案し、システムを統合する。そしてデータの継続的な収集を通じて性能を磨いていきます。」「セイル付き船舶まわりの空気力学は複雑です」とHenrik氏は続けます。
「正確な知見を得る唯一の方法は、運航中にデータを収集し、風のモデリングを継続的に改良していくことなのです。」コングスベルグ・マリタイムは、スウェーデン国立研究所(RISE)と協力し、昨秋に体系的な海上試験プログラムを支援、理論モデルに対するセイル性能の検証を行いました。
その評価は?
「良好です」とHenrik氏。「セイルは予想を若干上回る性能を発揮しています。最終評価にはさらなる試験が必要ですが、それこそがパイロットプログラムの本来の目的です。」「システムは非常にシンプルで、オン/オフ、上げ/下げの操作だけ。あとはセイルが仕事をしてくれます」とHenrik氏は説明します。「使用のハードルが低いため、これまでのところセイルは可能な限り展開されており、ただし、入出港時など視認性が求められる場面では、例外的にセイルを格納することもあります。
K-Sailの強みは、セイル単体ではなくシステム統合にあります。
船舶そのものがコングスベルグ・マリタイム(KM)設計のNVC 615 CT型であり、K-SailはK-Chief(オートメーション・推進制御)、可変ピッチプロペラ(CPP)、AutoChiefを含む装備パッケージと連携して機能します。

Henrik氏は「セイルが最も効率よく推進力を発揮できるように、エンジンや推進装置の制御設定を最適化しました」と説明します。「風が強いコンディションでは、システムが自動的にプロペラピッチを最適化することができます。」

現時点では、機関回転数の調整はK-Sailからのアドバイザリ情報に基づき、乗組員が手動で実施しています。次のステップはセミオート化で、乗組員が「実行(execute)」ボタンを押す方式とし、最終的にはフルオートメーションへ移行する構想です。「人間を制御ループから外す前に、まずシステムに対する信頼を確立する必要があります」とHenrik氏は語ります。「ただし、最適化そのものはすでに進行中です。」
燃料に着目して
セイル展開時はエンジン負荷が低減されるため、燃費改善効果は明確に表れています。
正確な数値はまだ集計中ですが、Henrik氏は実績が想定を上回るペースで推移していると確認しています。Tern Vikが稼働中の現在、運航中の計算と検証はTerntank社にとって引き続き重要な要素であり、拡大するフリートの将来的な効率運航を支える基礎データとなっています。Terntank社のCEO、Claes Möller氏は初期成果について次のように述べています。

「Tern Vikと2番船のTern Landは、いずれもサクションセイルを搭載して稼働中で、現時点で我々は非常に満足しています。導入は極めて順調に進み、乗組員もセイル操作に違和感なく対応できています。」「燃費に関しては、導入前に行った理論計算に基づく期待値を満たしていることが確認できており、さらに時間の経過とともに削減効果が拡大する可能性もあります。」Möller 氏は続けます。
「乗組員はウィングセイルの仕組み—空気力学的な原理、制御システム、航海機器との統合—について研修を受けています。チャータラー(用船者)にとっても燃料消費削減の可能性は魅力的であり、だからこそ我々は確かなデータで効果を示すことが重要なのです。」


「ウィンドアシストが単なる『良いアイデア』ではなく、燃料消費を削減する実用的なソリューションであることを証明しなければなりません。11隻のうち5隻にセイルを搭載すれば、異なる航路・コンディションでの運航データを横断的に収集できる『クリティカル・マス(臨界数)』に到達します。」さらにMöller氏は付け加えます。
「これらの船は試験台(テストベッド)として機能し、当社の他船と比較しながら、燃料削減量・排出量削減・整備コストを検証できます。実証された削減効果と運航上の信頼性に基づいて、既存船への遡及搭載(レトロフィット)が経済的に成立するかを判断していく予定です。」
デジタル航海最適化
K-Sailの次なるステップは、Voyage(ボヤージ)機能の追加です。これは単なる航路計画を超えて、航海全体を最適化するデジタルツールです。

「気象予報を活用しながら、速力とパワーを動的に調整するという発想です」とHenrik氏は説明します。「強風が来ると予測されれば、今のうちは減速しておき、後で十分に風を活かして走ることができる。目的は単に速度を維持することではなく、到着予定時刻(ETA)に港に着けることに合わせて運航を組み立てることです。」

この機能は、ウィンドアシスト技術およびハイブリッド推進と組み合わせることで、燃料・排出量の両面で大幅な削減効果が期待されます。