ケーススタディ:有事の際の通信手段
自然災害などにより携帯電話網や地上通信インフラが停止した場合、消防・警察・自治体などの関係機関が継続して活動するためには、迅速に代替通信網を構築することが重要です。
米国フロリダ州イスラモラダでは、Transpondr社、LBiSat社、Silvus Technologies社の協力により、衛星通信とSilvus TechnologiesのMIMOメッシュ無線「StreamCaster」を組み合わせた緊急通信ネットワークの実証試験が実施されました。

既存通信網の課題
災害発生時には、停電や通信設備の損傷などによって、携帯電話やインターネットだけでなく、消防・警察などが使用する既存の無線通信設備も利用できなくなる可能性があります。
また、衛星通信によって外部との通信回線を確保できた場合でも、災害対策本部、消防署、現場活動拠点など、離れた複数の地点へ通信を展開するための手段が必要となります。
そこで本実証では、衛星通信を基幹回線として使用し、Silvus StreamCasterによる無線メッシュネットワークを構築することで、複数拠点および移動車両を接続する通信システムが検証されました。
実際のシステム構成
災害対策本部(EOC:Emergency Operations Center)には、7Mbpsの衛星IP回線とSilvus StreamCaster 4400、19dBiの高利得パネルアンテナを設置しました。
そこから約6マイル(約9.7 km)離れた消防署には、StreamCaster 4200と19dBiアンテナを設置し、無線メッシュネットワークによって災害対策本部と接続しました。
さらに、2dBiの小型無指向性アンテナを装備したStreamCaster 4200を車両に搭載し、移動中における通信接続についても検証しました。

実証結果
消防署側のアンテナ設置位置は既存アンテナ塔よりも低く、樹木によって災害対策本部との直接の見通しが確保できない環境でしたが、両拠点間では十分な信号強度とIPデータ通信が確認されました。
また、消防署に設置したStreamCaster 4200へWi-Fi機器を接続することで、5名のユーザーがスマートフォンやPCから、約6マイル離れた災害対策本部の衛星回線を経由してインターネットへ接続することができました。
車両に搭載したStreamCaster 4200についても、島内を移動している間、災害対策本部または消防署に設置された無線機の少なくとも一方との通信接続を維持しました。
これにより、固定拠点間の通信だけでなく、移動する緊急車両や現場活動拠点を含めた通信ネットワークを構築できる可能性が確認されました。

Silvus StreamCasterによるメッシュネットワーク
Silvus StreamCasterは、各無線機がネットワークの中継点として機能する自己形成・自己修復型のメッシュネットワークを構築できます。
通信経路はネットワークの状況に応じて自動的に形成されるため、建物、車両、アンテナ塔、現場活動員などに無線機を配置することで、通信エリアを柔軟に拡張することが可能です。
また、IPデータだけでなく、既存のHF/UHF/VHF無線機と接続し、Radio over IP(RoIP)を利用することで、既存無線設備の中継局が使用できない状況における代替ネットワークとしての活用も想定されています。
災害対応への活用
本実証は、衛星通信とSilvus StreamCasterを組み合わせることで、既存の通信インフラに依存せず、災害対策本部、消防署、現場活動拠点、移動車両などを接続する通信ネットワークを迅速に構築できる可能性を示した事例です。
Silvus StreamCasterのメッシュ通信技術は、災害対応をはじめ、消防・警察・自治体の緊急通信、移動体通信、船舶・無人機を含むさまざまな用途への活用が期待されています。
日本海洋では、Silvus Technologies製StreamCasterシリーズの国内での提案・導入支援を行っています。使用環境や通信距離、搭載対象など、お客様のご要望に合わせた通信システムをご提案いたします。
本無線機に関するご相談がございましたら、お気軽にお問い合わせください。
記事原文:Satellite & Wireless MESH Connectivity for Emergency Management & Law Enforcement
