BLOG
お役立ち情報
海に優しく、進化は鋭く。世界初の完全電動CSOVプロジェクト

船舶プロジェクトが大きな飛躍を遂げる

Kongsberg Maritime(KM)社の技術と知見が、グリーンエネルギーを用いて海運をより高い卓越性の次元へと引き上げる船舶の中核を担っています。

オフショアエネルギー業界における画期的な一歩として、英国のBibby Marine社が、世界初となる完全電動のコミッショニング・サービス・オフショア船(eCSOV)を就航させようとしています。この革新的な新型船には、KM社の多彩な技術に加え、世界最大の搭載バッテリー容量を備え、長期間にわたる排出ガスゼロの運航が可能になります。

環境に配慮した海事ソリューションへのビジョン

Bibby Marine社の環境に配慮したソリューションへの歩みは、2019年の「Wave Master Zero C」プロジェクトから始まり、水素、アンモニア、メタノールといった代替燃料を探求してきました。クリーン海事実証コンペティション(CMDC)や、ゼロエミッション船舶・インフラ(ZEVI)プロジェクトを含む一連の助成研究を経て、Bibby Marine社は2023年、排出ゼロのサービス・オペレーション船(SOV)を開発するため、英国政府(ZEVI)から約2,000万ポンドの助成金を受けました 。

「私たちは、環境への取り組みを代替燃料とバッテリー技術の検討から始めました。そして様々な研究を通じて、SOVにとって最適な代替燃料はメタノールであるという結論に至ったのです。」

Gavin Forward氏(Bibby Marine社 新造船部門ディレクター)
Gavin Forward氏(Bibby Marine社 新造船部門ディレクター)

eCSOVの主要な特徴のひとつが、Corvus Energy社が供給する25MWhの「Blue Whale」バッテリーエネルギー貯蔵システム(BESS)です。このリン酸鉄リチウム(LFP)システムは、オフショア舶に搭載されるものとしては現時点で最大の計画規模であり、船は最大24時間にわたり完全に電力のみで運航できます。
これほど大容量のバッテリーを採用したのは、1日あたり約14マイルを風車群内(infield)で航行し、最大10基の風車に接続するという運航プロファイルを最適化し、かつ15年間の保証運用寿命を確保する必要があったためです。

KM社の包括的な舶用機器パッケージが、本船の先進システムの中核を成しています。これには、アジマススラスタ、格納式スラスタ、トンネルスラスタを備えた全電動リムドライブ推進システム、自動化システム、電気制御システム全般、ダイナミックポジショニング(DP)、およびスラスタ制御が含まれます。

Gavin氏(前述のディレクター)は次のように付け加えます。「Kongsberg Maritime社の機器の統合は極めて重要でした。同社のパッケージはすべてのシステムがシームレスに連携することを保証し、性能を最適化しつつエネルギー消費を削減します。」

リムドライブ式スラスタシステムは、プロペラブレードを中央のハブではなく外周リングに取り付ける新しいタイプの電動推進ユニットです。シャフトやギアボックスを不要とするため、騒音を低減し効率を高めることができます。
Gavin氏は、「リムドライブ式スラスタシステムは、騒音低減とDP機能の面で大きなメリットをもたらします」と語ります。

「バッテリー運航時にもDNVのV2C2規格(※)の要件を上回る性能を発揮し、洋上風力発電市場のお客様にとって不可欠な、静かでスムーズな運航を実現します。このシステムは、市場で最も静かな船舶となる可能性を秘めています。また、リムドライブは操縦性と効率性も向上させるため、この種の船舶にとっては理想的な選択肢です。」

※国際船級協会DNVの船級符号V2C2 は、単一故障があっても船位を保持できる冗長構成(IMO Equipment Class 2 相当)に、閉端母線運転時の追加要件を加えた DP の信頼性等級。

メタノール対応(methanol-ready)にとどまる多くの新型船舶と異なり、eCSOVは就航当初からメタノールでの完全運航が可能です。
メタノールが選ばれたのは、そのエネルギー密度、ディーゼルとの互換性、そしてグリーンメタノール使用時に真の排出ゼロを達成できる点にあります。
本船のツイン3.5MWエンジンは、バッテリー充電のために一定負荷で運転され、最も効率的な運航と排出削減を確保します。

Gavin氏は、風車群から直接電力を取り込む「洋上充電(オフショア・チャージング)」が、2027年の就航までに利用可能になると楽観視しています。「本船は洋上充電に対応する準備が整っています。50Hzで最大6MWh、11kV ACの充電に必要なすべてのハードウェアが搭載されており、4〜5時間で満充電できます。私たちは海上試運転の段階から、メタノールを用いて徹底的なテストと試運転を行います。最終顧客が環境に優しい燃料での用船を望めば、グリーンメタノールを燃料補給し、排出ガスゼロで造船所を出港することができます 。」

海に優しく、進化は鋭く。世界初の完全電動CSOVプロジェクト

デジタル技術が、この画期的な船の中核を成している

データの力を引き出す

デジタル技術もまた、エネルギー利用の最適化において重要な役割を果たします。KM社の「K-IMS」システムと、サードパーティ製のAIモデリングソフトウェアを統合してデータを収集・分析することで、航路の最適化や、船舶のライフサイクルを通じた効率的なバッテリー使用管理が可能になります 。

「私たちはできる限り多くのデータを収集し、AIモデリングを活用して運航を最適化したいと考えています」とGavin氏は説明します。「これにより、将来の船舶ではバッテリーパックのサイズを縮小し、全体の効率をさらに向上させることができます。」

また、eCSOVは乗組員と風力発電所の技術者に高い水準の生活・作業環境を提供するよう設計されています。

「私たちは船を可能な限り快適にすることに注力しました」とGavin氏は語ります。「居住空間はホテル並みの基準で、広々とした明るい空間です。また、騒音や振動を抑え、船内での作業効率を最適化するために、クリーンゾーンとダーティゾーンを分離しています 。」

eCSOVは英国および欧州海域での運航が予定されており、環境に配慮した海上ソリューションに対するBibby Marine社の取り組みに合致しています。
Gavin氏は、同社の革新的なアプローチと、バッテリー電動船市場をリードする可能性に誇りを抱いています。
「当社は英国に拠点を置く家族経営企業で、海事分野で200年の歴史を誇ります。SOV市場におけるバッテリー電動船の主要サプライヤーとなり、ハイエンドでオーダーメイドの船舶を提供することを目指しています 。」
Bibby Marine社の新型eCSOVは、グリーンテクノロジーと持続可能な操業の可能性を証明するものです。

その画期的な設計と先進的な機器パッケージにより、本船はオフショア操業における効率性と環境責任の新たな基準を打ち立てようとしています。

海に優しく、進化は鋭く。世界初の完全電動CSOVプロジェクト

記事原文:

She’s electric — Kongsberg Maritime

関連製品:

Rim Drive Azimuth Thruster (RD-AZ)
Hybrid & electrical propulsion (脱炭素ハブ)