海上大型設備の係留技術の革新が、柔軟性を新たな基準へと引き上げる。

柔軟で多用途な設置オプション
従来のOSCVは、本格的な係留設置作業を単独で行う能力には限界があり、大規模な係留プロジェクトでは専用船(AHTS など)が不足することが課題となっています。
専用設計のアンカーハンドリングウインチ、シャークジョー、スターンローラーを新造OSCVに統合することで、OSCVが従来は対応しきれなかった係留作業を自立して実施できるようになり、洋上風力を含む大規模係留プロジェクトで深刻化している作業船不足への有効な解決策となります。
安全性と効率の向上

現在のOSCVは、追加装備を持たないため、搭載クレーンとROVを使ってサクションパイルやドリブンパイルを海底に設置する、といった「設置作業」までが主な役割となっています。
係留ラインを含む本格的な係留設置作業は、通常は得意としていません。一部の係留ラインは場当たり的な方法で設置することもできますが、その場合、安全性や効率性に課題があります。
Kongsberg Maritime の新ソリューションを導入することで、OSCVにおける係留関連業務の最適化とリスク低減を実現し、運用ポテンシャルを最大限に引き出すことができます。
Kongsberg Maritimeは、オフショア建設船(OSCV)の運用範囲を劇的に拡大する、係留(Mooring)対応ソリューションを開発しました。
大規模な係留設置に対応できる船舶不足を背景にKongsberg Maritimeは、OSCVが単独でより多くのタスクをこなせるようにする新システムを開発しました。Kongsberg Maritimeのオフショア建設&サポート担当セールスディレクターであるRunar Hjelleによれば、この新ソリューションには数多くのメリットと特徴があります。彼は次のように述べています。
「当社の新しい係留対応ソリューションは、専用設計されたアンカーハンドリングウインチ、シャークジョー、そしてスターンローラーを新造段階でOSCVに統合するものです。これにより、船主様は船舶に幅広い係留オペレーション能力を持たせることが可能になります。つまり、OSCVが単独でより多くのタスクをこなせるようになるのです」
比較的シンプルなこれらのコンポーネントを組み込むことで、船舶は本来持っている海底設置およびサクションアンカー設置能力を最大限に活用し、係留ラインの事前敷設まで実施できるようになります。
係留対応OSCVを導入するメリット

係留対応のOSCVを導入・保有することは、いくつかの明確なメリットをもたらします。
第一に、船舶が係留オペレーションのほとんどをこなせるようになり、多機能化とともに、フィールドにおける追加船舶の手配やコスト低減させることが可能となります。この多機能化は、この多機能化は、開発事業者に大きな相乗効果をもたらします。コストの最適化が進むだけでなく、船舶運用の柔軟なスケジューリングも可能になります。
さらに、ウインチとスターンローラーを装備することで、船尾(スターン)からの係留ラインの投入を、より安全かつ効率的に行うことが可能になります。また、ウインチシステムは、恒久的に設置することも、必要な時だけ搭載するポータブル式にすることも可能で、柔軟な設置オプションを提供します。シャークジョーとスターンローラーは船体に恒久的に取り付けられますが、デッキスペースの占有は最小限に抑えられます。そのため、本来の設計機能である海底建設作業に支障をきたすことなく、追加のタスクを並行してこなせます。
OSCVの一般的な装備である海底クレーンは、サクションパイルの吊り上げ・設置だけでなく、係留チェーンの荷重保持も可能です。
ベースラインのウインチパッケージには、ワークワイヤー用ドラム1基と、チェーンハンドリング用のケーブルリフター2基が含まれます。
しかし、必要であれば、容量の増加やアクティブヒーブ補償(AHC)といった追加のウインチ能力をソリューションに組み込むことも可能です。さらに、ニーズに応じてウインチの大容量化やAHC(アクティブヒーブ補償)機能の追加も可能です。これに優れた定点保持(DP)能力と広大なデッキスペースを掛け合わせることで、極めて効率的な設置船が実現します。ウインチは高負荷に耐え、過酷なオフショア環境を前提とした堅牢な設計が採用されています。
また、係留ラインとアンカーを正確に制御する先進のハンドリングシステムも搭載されています。シャークジョーとスターンローラーは、オフショアオペレーションの厳しさに耐えうるよう設計されており、信頼性の高いパフォーマンスと安全性を保証します。この係留対応ソリューションと、重量のあるサクションパイルや係留チェーンを容易に扱える高度な吊り上げ能力を備えた海底クレーンの組み合わせは、OSCVの多用途性を一段上のレベルへと引き上げます。
市場の課題への対応
「このシステムを追加することで、OSCVはより魅力的で効率的なソリューションになります」
Runarは次のように指摘します。
「今後数年間、海底クレーンと、計画されている大量の大型アンカーに対応できる十分なデッキエリアを備えた船舶が不足することになるでしょう。このシステムを追加することで、OSCVはその不足を補う、より魅力的で効率的なソリューションとなります」
現在、異なる船種ごとにいくつかの選択肢が存在します。 まず、従来のOSCVの場合、広いデッキスペースとオフショアクレーンを備えているため、サクションパイルの設置は可能です。しかし、係留ラインをアンカーに接続する作業には多くの場合アクティブヒーブ補償(AHC)が必要となり、それにはオフショアクレーンかAHC付きウインチのいずれかが不可欠です。また、高い係留ロープ容量も要求されるため、現在市場にある多くの船舶が対応できません。
一方、オフショアクレーン、強力なエンジン出力、ボラードプル(牽引力)、そして係留作業のための包括的なウインチ・デッキ機器パッケージを完備した「係留設置専用船」は、大規模な係留設置における究極のソリューションです。しかし、そのような船舶の建造コストは、係留対応OSCVと比較して高額になるというトレードオフがあります。
最後に、ハングオフフレームやレイタワー、クレーンによるチェーンハンドリングなどを用いたアドホック(その場しのぎ)なOSCV係留オペレーションの場合、作業手順が標準化されておらず、運用上のリスクや非効率性を伴うことが少なくありません。
主要コンポーネント

本ソリューションを構成する、鍵となる要素は以下の通りです。
- 大型デッキスペース:アンカー、機器、リールを配置するために必要です。
- オフショアクレーン:アンカーの設置、係留ラインの接続、リールの吊り上げに不可欠です。
- スターンローラー:係留ラインを繰り出す経路として必要です。
- トウイングピンおよびシャークジョー:係留ラインを制御し、確実に固定します。
- ウインチ:チェーンホイールとドラムを備え、チェーンやワイヤーのハンドリング、係留ラインの繰り出し・回収、チェーン重量の保持を行います。駆動方式は低圧油圧式、または永久磁石モーター(PM)電動式のいずれかを選択可能です。
様々なデッキレイアウトにより、十分な繊維ロープ容量を確保できます。OSCVは従来のドラグエンベドメントアンカー(把駐アンカー)に必要なボラードプルは不足しているかもしれませんが、サクションパイルの設置には非常に適しています。パイルチェーンのインバースカテナリー(逆懸垂線形状)を引っ張る必要性については、海洋オペレーションの計画段階で対処可能であり、フックアップ(接続)フェーズにおいてアンカーハンドリング船(AHTS)によって管理することができます。
建設船の新造時にこれらの調整を加えることで、係留ライン設置のより多くの部分を担うことができるようになります。Runarは次のように付け加えます。
「これらの船舶は、他のフィールド開発活動ともシナジーを発揮します。新造船を計画されている船主様へのメッセージはシンプルです。『御社の海洋作業船を、係留設置も可能な仕様にしませんか?』
このソリューションにより、OSCVはより幅広い係留オペレーションにおいて魅力的かつ効率的な選択肢となり、過酷なオフショア環境においても信頼性の高いパフォーマンスと安全性を確保します。
